“日経新聞マジ読み投資術”実践中 ~スズキはインド市場を抑え続けトヨタを超えられるか~

渡部清二氏著書の“日経新聞マジ読み投資術”を読んでの気付きを以下にまとめました。

  • 市場サイクルやマーケットデータを意識し、いくら個別企業が良くても、市場規模やサイクルを意識して相場に臨むことが肝要であること。
  • フローデータとストックデータを使い分けの大切さ。フローは伸び率ストックは市場規模といったところだろう。

自動車のスズキのインド市場における優位性と将来性を記述しており、直近でスズキのインドでの販売状況も日経に出ており気になったのでまとめてみました。

インドでは2017年新車が年間401万台売れており、ドイツの(385万台)を抜いたという記事が昨年1月に出た。日本は500万台で2020年には日本も抜いてくる予想だ。

記事の中のインドについての要点は

  • 自動車市場は今後年率10%近い伸び。
  • 過去10年で市場規模が2倍=年率7.2%の伸び。
  • 経済成長に伴い、一人あたりGDPが10年前と比べ7割増加し、所得が拡大。
  • 全自動車市場の8割が乗用車で最大手のマルチ・スズキが前年比15%増でかつシェアが49.6%(前年より2.6%増加)

伸びゆくインドで将来的にスズキがどの程度販売を伸ばすかを予想してみると、

地域別の市場を見てみると、

     人口     年間販売台数(2017年)

中国  13億9千万    2887万台

米国   3億2千万     1723万台

日本   1億2千万    523万台

インド  13億1千万               401万台

 

とあり、日本の10倍以上の人口を誇るインドが日本と同程度に自動車を保有したと仮定した場合、5000万台となりシェアがの半分を維持した場合、スズキの年間販売台数は2000万台となるわけだ。トヨタの現在の1000万台をゆうに超えてくることとなる。

自動車の市場規模が今後も大きく伸びるインドでシェア5割を握っているとは末恐ろしい。

本日経記事以降の状況も記述しておこう。

スズキが直近に出した決算資料(2018年11月1日)の中では

インドにおける4輪車の販売状況は988千台(前年比13.6%増)とあり、

インド全体の自動車市場の伸びが10%程度であるから全体の伸びを上回る伸びを記録している。

 

そして直近1月24日付の日経新聞でインドにおける各メーカーの昨年12月と4月~12月販売台数が記載されていた。

12月の乗用車販売台数  4~12月の乗用車販売台数 
マルチ・スズキ (スズキ子会社、日) 119,804(  1)  1,308,443(  7) 
現代自動車(韓) 42,093(  5)  411,980(  3) 
タタ自動車(印) 15,395( ▲4)  172,353( 19) 
マヒンドラ・アンド・マヒンドラ(印) 15,091( ▲3)  176,744(  0) 
ホンダ(日) 13,139(  4)  134,797(  4) 
トヨタ自動車(日) 11,836( 10)  114,726( 10) 
ルノー(仏) 7,263(▲17)  60,461(▲25) 
フォード・モーター(米) 5,840( 15)  70,297( 11) 
フォルクスワーゲン(独) 2,820(▲15)  26,688(▲24) 
日産自動車(日) 2,365(▲35)  27,718(▲29) 
シュコダチェコ) 1,397(▲20)  12,621( ▲5)

各メーカーの4~12月の乗用車販売台数をもとにシェアを計算すると、

上位3位までは以下の数字となった。

マルチ・スズキ 51.98%

現代自動車   16.36%

タタ自動車     6.84%

ここで驚くべきはスズキは2位以下を大きく突き放しているという事実だ。

インドでの市場市場支配率は圧倒的でよほどのことがない限り今後数十年は盤石といったとろこだろうか。

今後自動車市場が最も伸びるインドを抑えているスズキにますます目が離せなくなった。

 

 

大学内定率、最高の87.9%の次に起こること

大学内定率、最高の87.9%の次に起こること

 

 19日朝刊日経新聞に以下大学内定率についての記事が掲載された。

文部科学省厚生労働省は18日、2019年春に卒業予定の大学生の就職内定率が18年12月1日時点で87・9%だったと発表した。前年同期より1・9ポイント上昇し、この時期として過去最高となった。上昇は8年連続。文科省は「景気の穏やかな回復で企業の採用意欲が高く、求人数が増えている影響とみられる」としている。

 

ここ数年、企業の求人数が多い「売り手市場」が続いており、18年春の大卒者の就職率(18年4月1日時点)は98・0%と1997年以降の過去最高を3年連続で更新している。調査は全国62大学の学生4770人を抽出して実施。卒業後に就職を希望する学生のうち、すでに就職先が決まった割合を内定率としている。

この記事を読んだ瞬間に想思い起こされたのが、筆者が大学1年生の入学式(2007年4月)で聞いた学長の辛辣なお言葉だった。

「入学式早々で厳しい言葉となる。今年の大学生の就職内定率は大変素晴らしいものだった。残念ながら君たちが就職活動をしている頃は今より就職環境は厳しくなるかもしれない」といったニュアンスのお言葉を頂いた。正直当時は入学できた喜びでその言葉は右耳から左耳に通り抜けていた。

しかし、学長の予言は残念ながら見事に的中してしまう。入学した年の暮れにサブプライムショック。続く2008年9月はリーマンショックが勃発。100年に一度のショックと言われ、世界経済の大減速が日本企業にも波及し、企業業績の悪化、日経平均株価も大暴落を演出した。

市場サイクルに抗うことができなっかた格好となった。発端はアメリカの住宅市場だ。2000年代前半から住宅の価値が上がり続け、2006年は経済も絶好調だったが、住宅市場まさにそこがピークだったようだ。

その後は種々ショックが噴出し、リーマン・ブラザーズの倒産が決定打となり大不況の扉が開かれてしまった。当然日本企業も新規採用を絞る、または見送るところとなった。筆者もその最中に就職活動をしたわけだが、人生で一度きりの就職活動だったので厳しい環境だったとの認識がなくはなかったが相対化できるものではないのでコメントは控える。

本題はこの3年連続で過去最高の大卒就職内定率を更新しているという事実だ。過去の経験に照らし合わせ、市場サイクルに素直に従うとするならば、近い将来、大きな景気悪化を招く可能性が高いということだ。今年から来年にかけて株価が高値をつけ、そこから急落を迎えるというシナリオだ。

もし私が大学長ならば今年入学してくる大学生1年生には、(そう現在センター試験を行っている高校3年生)残念ながらそれどころではないでしょうが、冒頭のかつての大学長のお言葉をそのままお届けしたいところです。

最近の株式市場を思う・個人投資家は高ボラティリティとどう向き合うべきか。

最近の株式相場の変動はまさにジェットコースター相場というに相応しい様相だ。

みなさんはどのように相場を見ているだろうか。

上昇相場が始まってから7年、8年くらい経つのか、長い期間をかけてじわじわ上がってきた。相場のサイクル上そろそろ下降トレンドになるのではという憶測がさも当然かのようにそこらじゅうで聞かされ、筆者ももうそのつもりで対処しなくてはと下落相場を前提とした投資戦略を練ってしまっている。

しかし、大衆やメディアが暴落を煽れば煽るほど逆に上昇するのではないかとさえ思ってしまう。相場はそんなに簡単ではない。相場の予想外は日常だ。みんなが下がると言って簡単に下がればそんな簡単なこともない。みんなが儲かってしまうではないか。

 

空売り比率は過去の数字をみても高水準であるとのニュースもあり、(はっきりした数字は覚えていないが40%が常態化だったか。)

10人に4人が空売りをし、現状で株価が急落となれば、4割の空売り勢がここぞとメディアに発信する。するとあたかも相場にいる大多数が暴落を予想しているといった誤ったコンセンサスが生まれかねないのではないかと危惧している。

結局この数ヶ月の株価の乱高下でまずまずのパフォーマンスをあげているのは何もしなかった人ではないだろうか。

市場を予想し、先回りするというは神業であり、偶然の産物かもしれないし、悪手になる場合が多いはず。

大きく失敗しないためには市場が急上昇しているときは調子に乗りすぎない(フルインベストしない)、暴落しているときに狼狽売りしない(むしろ少し買い増すくらいの資金をとっておく)ことがいいのではないか。

 

上昇相場が長年続いている、NYダウは過去最高値圏にある現在、高値恐怖症ともいえる急落を起こさないとも言えない。慎重さを欠かさずに望みたい。